2015.08.29 Saturday
【中国】問題な日本語学科 〜 学校にもいろいろある
再び『日本語先生奮闘記―中国で思う外国語教育のあり方』 (梅田星也著・大修館書店)は,中国の大学で日本語教師をやっている先生にはお勧めだ。
中国の大学の日本語学科では,学生が短期間に日本語を身につけている。なのになぜ,日本の英語教育はいつまでたっても英語が使えるようにならないのかということを,両国の外国語教育を比較して語った本である。
中国の大学がすべて,梅田星也先生のいうような外国語教育がされているのなら,これは本当に素晴らしいことだし,日本にとっては大変な脅威だ。
が,じつはそうなっていない。
わたしが教えた常州機電学院の日本語学科の学生の日本語力はさんざんだった(ただし,9名しかいなかった1年生は意欲的でちょっと希望がある)。
深圳時代の同僚で,今は山東省の濰坊で教えるH先生も,学生の日本語力の低さに頭を悩ませている。
日本語学科にもかかわらず学生の日本語力の低さに悩む(悩んだ)日本語教師二人の対談。
いい教育ができている学校とそうでない学校。日本にも中国にも,いろんな学校があります。
そういえば,校舎はキャンパスのないビルで,在学生のほとんどがアジアからの留学生で,しかも勉強そっちのけで不法就労している学生がいっぱいいて,入国管理局からマークされている大学が日本にいくつかあるけど,こういう学校の存在ってどうなんよ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
H: お元気ですか? また教壇に立たれるんですね。頑張ってください。
C: まあ元気かな。頑張るけど,時間給の非常勤講師だから不安がいっぱいだよ。
2つの専門学校で教えるのだけど,基本的に1つの学校では週に2,3回午前か午後の授業を持つ。時間割を見ると午前はA校,午後はB校のような組み合わせは無理。つまり,1日の仕事は午前か午後で終わる。
それに夏休みとかがあるから,その期間は無給になるし。生活できるかな。
H: 私は長い夏休みが終わっていよいよ潍坊2年目突入です。
C: あれ,まだ2年目? 3年目かと思ってた。最近計算ができなくなっていて,履歴書を書くときいているときここ1年間ずっと自分の年齢を1歳間違えて覚えていたことに気付いた。実際の年齢は,自分が思い込んでいた年より1歳若かった。なんか1年得した気になったな。
H: 2年目なんで,学生の現状を知った上でどうするかを考えなきゃいけなくなりました。このままだと日本人は初級初期レベルを越えた講義はできない。なのに,これで政治経済、文化を日本人が教えるってさ・・・・。
C: んー,うちの学校もそうだったけど,何で日本語学科で学んでいる学生たちが,日常会話すらできないことに中国人の先生が危機感を感じないのか不思議で仕方がない。なのに,中国人の先生の授業で使っている教科書見ると,これが結構難しいことやっている。そんで学生は,ただただ定期試験で欠点を取らないための,卒業に必要な単位が取れるためだけの勉強だけをしている。われわれが,中学・高校で受けた英語教育と同じだと思ったね。使えるようになりゃしない。
もっとも,ウチの大学は日本語学科の募集は今年度から廃止になったけど。今在籍している学生が卒業したらそのまま廃止。学生の人気がないのみならず,教育の結果が出てないと判断されたんだろうな。
H: 中国人教師は日頃日本人とは関わらず、会えば「うちはレベル高い!」と言う。
C: わたしも,一度だって教務会議に呼ばれたことはない。わたしの前任の日本人先生は,滅多に教員室に来なかったそうだ。着任当初は,教員室に来なきゃ情報が入ってこないし,いい授業ができないだろうと,前任の先生を批判的に思っていたのだけど,教員室に行っても中国人先生から相手にされることはないので「そりゃ来なくなるわ」と理由がよく分かった。相手にされないとひどく孤独感も感じるしね。
まあ,それでもできるだけ教員室には顔を出すようにしていたから,おかげで中国人の先生からは「前の先生はあまり真面目じゃありませんでしたが,C先生は真面目です」と,評価されたけど。
H: 日本語教育も,中国人の先生は「読解できればいい。コミュニケーションは二の次。漢字眺めて意味を推測できればいい」なんて言う。
C: 企業もそうだけど,われわれ日本人が,日本語学科出身の中国人に望むことは,会話ができること。通訳をしてもらえること。夏目漱石や源氏物語が日本語で読めることじゃないんだけど。
日本文学科で夏目漱石を研究していましたとか,源氏物語を研究していましたと言うんなら,会話できなくても仕方ないけど,わたしが教えていたのは商務日語科。ビジネス日本語だからねぇ。
H: こんなことも言われた。「私が日本の大学で中国語を教えたときは日本語で教えていた。学生のために肝心なことは中国語でやってもらえるとありがたい」。
欧米の先生方には言えないけど、日本人には言うんですな。
んじゃ日本人いらないじゃん!
C: うん,そうだね。日本人の先生は日本語の直接法で教える。それが日本人教師の最大のメリットだろうと信じている。ある日本語教師がYoutubeに日本語の講義をアップしている。全部中国語で。せっせと動画を取ってはアップしているのだろう。
中国語で文法を説明できるってすごいなぁと,この先生の中国語力には感心するけど,全然いい授業だと思わない。中国語ばかり聞こえてきて,日本語は,例文の「わたしは寿司を食べたことがあります」なんて短い日本語がたまに聞こえてくるだけ。
やっぱり,何のための日本人先生? と思ってしまう。
まあ,この先生は,学校に通っていない学習者のための講義をしているのかもしれないから,それならそれで日本人が中国語で授業をやっていることは問題はないのだけど。
H: 日本語学科に入ってくる学生も問題がある。昨年卒業していった学生の中には「日本語は中国語じゃありません。わかりません。私は日本語に興味がありません。」とはっきり作文に書いてくるような学生もいた。
C: 日本語学科は基本的に人気ないんだよね。でも大学入試(高試)の成績のため希望が通らず,仕方なく日本語学科に流れてくる学生が大半を占める。これは中国の日本語教育の世界では有名な笈川幸司(※注)も言っている。「カリスマ日本語教師」なんて言われている笈川幸司のいる学校でも,日本語科に集まってくる学生はそうなんだね。
でもこれは制度の問題で学生に責任があるわけではない。
そのような仕方なく日本語を学ぶ学生たちにとって,日本語より第二外国語の英語のほうが大切なんだよね。クラスの中には,日本語学科なんだから「はい」「いいえ」で答えろと何度言っても「YES」「NO」なんて答える学生がいた。
もちろん教師の役割としては,そのようにモチベーションの低い学生のモチベーションをいかに上げてやるかということが大切なんだけどね。
H: うーん、総じて大学批判しかしてないですなぁ。
C: お互いに同じ深圳の学校で教え,そこでは,しっかりしたシステムが確立し,さらに日本人と中国人の先生が週に一回の会議を持ち,とにかく短期間で学生が会話できるようになる姿を知っているからね。あの学校は,たぶん深圳で一番大きな民間の日本語学校だけど,さすがに深圳中から学生が集まってくるだけの教育のシステムがしっかりできていたと思うよ。実績もあるし。(そう言えば日本語教師LIFEセンセーが大学に内緒でアルバイトしていた日本語学校は,先生は日本人なら誰でもよくて,素人の日本人が中国語で授業したりしていたそうだ。濰坊の日本語学校って東風東街のあそこか? あそこしか無いよな)
だから,大学でそれができていないことが歯がゆくて仕方ないんだよ。
とにかく貴重な青春を身につかない学習に費やしている学生の優秀な頭脳が,在学中の3年あるいは4年という貴重な時間がたいへんにもったいないし可愛そうだと思う。
あっ,そう言えばうちの大学の中国人先生の日本語力は,明らかに深圳の学校の先生より劣っていたぞ。この辺も,教務会議にわたしが一度も呼ばれなかった理由かな。普段から日本人と会話しないから先生も上手にならないんだよ
H: ではでは、軌道にのるまで大変でしょうけど、お体に、とくに腰に注意してお過ごしください。
C: 腰ね,椎間板ヘルニア。これ遺伝的要素が強い病気。実は次男が今この病気で入院中。こいつ,グレーシー柔術の道場に通っている男なんだけど,体鍛えてても遺伝にはかなわないな。
わたし4人兄弟なんだけど,これで4人中3人がこの病気を発症し入院した。やっぱり遺伝だねぇ。わたしは,今んところ全然大丈夫,と言いたいけど最近左腕がときどき痺れる。ううむ,ひょっとしてこれは,ヘルニアが頚椎に来たか・・・!?
それは深く考えないことにして(←病院行け),とにかくお互いに頑張りましょう。
※注: 呼び捨て。だってこの先生の書いた教科書読んだけど,ひどい内容だったんだから。ひたすら,単語と,短い言葉(文にはなっていない)の発音練習をするだけ。
正しいアクセントを身につけるための及川音符なんていうのもついている。及川音符の読み方を覚えるのもめんどくさいわ!
中国語の四声を覚えるのもそうだけど,発音やアクセントは頭で覚えるより,単純に耳から聞いて発音を口に出して,体で(耳と口で)覚えるのが一番早い。
「去年,1年生の日本人の先生の授業はこの教科書を使いました」と中国人先生。
前任の日本人先生が,言われたとおりにこの教科書の内容だけを授業でやっていたとしたら,そりゃ2年生が全然会話できないはずだと思った。
2015.08.20 Thursday
就活の合間に,ワンティンを聴きながら読書する
中国の大きな書店に入ると,日本の書籍の翻訳物の多さには本当に驚かされる。
目立つのは村上春樹,東野圭吾,稲盛和夫(稲盛和夫。この人,そんなにすごいのか?)なんかだけど,『断捨離』や『バカの壁』だってある。
『枕草子』や『源氏物語』も平積みで置かれているのには大いに驚く。
春はあけぼのなんて,いかにも島国・日本的な自然描写だけど,大陸中国の人は理解できるのか?
源氏物語なんて日本人でも難しい。そもそも面白いか?
高校の古文で,そして大学入試に出題されるから無理やりにいやいや読んだ物語だから面白いと思ったことはただの一度もない。
みんなそうでしょ? 面白くないでしょ? そうだと言ってくれ。
◆『日本は中国でどう教えられているのか』(西村克仁著・平凡社新書)
神戸市立三宮図書館で見つけ借りてきた一冊。
中国で働く日本語教師はいうまでもなく,中国人に囲まれて生活している中国駐在のビジネスマン,留学生必読の書だと思う。
著者の西村克仁先生は,同志社香里中学・高等学校社会科教諭で2006年4月より1年間中国政法大学に留学し中国の教育の現場を見てきた人である。
中国の歴史教科書で日本はどのように教えられているのか。またそれは入試(高試)など試験ではどのように出題され,どのような模範解答が用意されているのか。そして日本の教科書ではどう記述されているのか。
著者は客観的資料を読者に提示することで,主観的判断を注意深く排除しながら中国の歴史教育の実態を伝えてくれている。
日本では,中国では愛国教育という名の「反日教育」が行われているということが半ば常識として通用している。実際にどのような教育が行われているのか,具体的なことを何も知らないのにである。
中国では愛国教育という名の「反日教育」が行われているのか?
まずはこの本を読んでから判断してほしいと思う。
著者の西村克仁先生は,社会科の教師として中立的であろうという立場を明確に宣言しつつ,自身は日本人だから中国人と自身の歴史認識は意見を異にすると認めつつも,読者が一方的な判断に陥ることがないように,慎重に言葉を選びながら,読み手から能動的な判断を引き出そうとしている。
正しい答えはない問題です。答えはあなた自身の頭で考えてくださいというのが,西村先生のスタンスであろう。このあたりの手腕はさすがに現場の教師だと思う。
そんなわけで,この本を読んで,やっぱり反日教育が行われていると感じる読者もいるだろうし,そうとは言えないと感じる読者もいるだろう。
この本では著者が接してきた中高生の意見が多数引用されている。
著者は,「中国政府の意図はどうであれ,彼ら彼女らの意見は驚くほど純粋である。どのような歴史認識であれ,こうした中国の若者に対して我々は真摯に答えられる言葉を持っているだろうか」と読者に問いかける。
ときどき,中国人の「日本は過去の歴史を反省していない」という中国人に対し,多くの中国人が知らされていない,中国の教科書に(おそらく)書かれていない,戦後の日本はODAをはじめ多くの援助を中国にした(現在もしている)といったといったことを持ちだして反論し,相手を黙らせたという話を目にすることがある。
そのような話をするなとは言わない。
しかし,わたしは生徒・学生という立場の相手を説得するやり方として,相手の無知,空白部分をついて,相手を自分の土俵に上げるこの論法はちょっと卑怯な気がする。言葉は悪いが大人げない気がする。一方的な知識の押しつけは対話になってない気もする。
まず第一に,日中双方が認識している歴史やできごとの土俵にのって,もつれた糸をほぐす対話の言葉を模索する努力をするべきだと思う。
そこから出てくる言葉こそが,中国の若者に対して「真摯に答えられる言葉」であろう。
中国で日本語教師をしている人にとっては目の前にいる学生が,中国でビジネスをしてる駐在員にとっては今目の前にいる中国人が,中学校・高校でどのような歴史教育,愛国教育を受けてきたのか。この本は,日本人と中国人の歴史認識のズレはどこで起きているのかを知るための入門書として最良のテキストであると思う。
ところで,なぜ『源氏物語』が中国の書店に平積みされているのかと言う疑問がこの本を読んで氷解した。
日本文化と日本のアニメーション芸術が大好きな陳君と言う生徒の「日本の友人たちへ」という長い手紙の中にこのようなことが書かれていた。
「中国と日本には友好と往来の伝統がある。(中略)紫式部は中国古典文学を愛し,かつ努力して学んだ。その結果世界一の長編小説を書きあげた。『源氏物語』である。これは我々東洋民族共同の誇りである」
わたしはこの本は,中国で働く教師や駐在員必読だと思うのだけど、amazonをみるとカスタマーレビューはわずか1件。売れてないということだ。
つまらぬ反中本に埋もれて,良心的な本が届くべき人に届いていない。
◆『日本語先生奮闘記―中国で思う外国語教育のあり方』 (梅田星也著・大修館書店)
この本も神戸市立三宮図書館で借りてきた一冊。この本も売れてないなぁ。じつは,この本を借りるのはもう3回目である。3回も借りるんなら買えよっていう話だな。
著者の梅田星也先生は,元高校の英語教師。1987年から湖南省の長沙大学で日本語教師。前書きの日付は1993年9月だ。このときもまだ長沙大学で現役の先生である。
前回借りたのは中国に行く前のことだ。中国で日本語教師をするための予習として読んだ。上品なユーモアのある文章なので,肩の力を抜いて読むことができる。
しかし,考えさせられることは多い。
中国の学生の優秀さに驚き,学生の日本語の進歩の速さに驚き,何年勉強しても英語ができない日本の学生の英語力にいらだち,そして中国と日本の外国語教育は,どこが違うのか。日本の英語教育はどこが間違えているのか,ということがこの本全体をつらぬく主題である。
この本が出版されて20年以上が過ぎた今,中国は日本を抜いて世界第二位の経済大国だ。そりゃそうだろう,20年以上前の中国に優秀な大学生がいっぱいいたのだから。
この本を読むとそう思うし,今でも中国の大学は,日本の平均的な大学生の頭脳より優秀な頭脳が,おそらく絶対数では日本以上に在籍している。エリート層の海外留学熱の高さも言うまでもない。
残念ながら,わたしの勤めた大学の日本語科は,まるで日本の英語教育みたいな指導だったから,2,3年生の日本語能力は散々だったけど。
日本語学科の3年生なのに,何で「名前は何ですか?」という質問に「听不懂(〈日本語が〉聴いて分かりません)」なんだ。
こんな教育じゃあ,可能性いっぱいの若い頭脳があまりにもったいない。
濰坊の実習生送り出し機関も深圳の日本語学校も,中国人教師と日本人教師がスクラム組んで,実習生,学生に短期間で実用的な日本語が使えるような教育をしていたぞ。
ただ,たったの9人だけど,この1年生が意欲的で,彼女・彼らがなかなかいい具合に上達していってくれたことが救いだった。
この夏には9人中2人も日本に旅行に来ていたのだよ。
ちなみに,2年生約20名中訪日経験者0人,3年生約40名中訪日経験者0人。
『日本は中国でどう教えられているのか 』のことを長く書いたので,この本の紹介を詳しく書くパワーがないので短く書く。
いやー,とにかく中国の大学で日本語教師やっている人は読んでください。
あーそうそう,あるある! が満載。絶対のおすすめです。
♪ Wanting 曲婉婷 - Life Is Like A Song
2015.08.18 Tuesday
再就職戦線戦果報告 〜 50過ぎてからの日本語教師
今日は午前中,阪急電車に乗って大阪の専門学校の日本語科に面接に行った。
午後に,日本語学校3件から電話が来た。
1件は午前に面接に行った学校から採用の連絡。早い。教案が未完成のまま面接・模擬授業の日が来て,よれよれの授業になってしまったのだけど。
また1件も,昨日面接に行った学校から採用の連絡。採用3件目である。3校のかけ持ちの勤務は難しいだろう。心苦しいが辞退させていただいた。
残り1件は面接の連絡。これも心苦しいが,もうすでに他校で採用が決定していることを伝えて辞退させていただいた。
やれやれ。これで中国から帰っての就職活動終了だぁ〜。
さてさて,日本語教師という仕事は社会的評価も給料も低い仕事である。
もう,本当に「この仕事が好き」「楽しい」と思ってなければやってられない。
だいたい,日本語教師が職業として成り立っていない。
常勤(専任)講師:非常勤講師=3:7。この数字がこの業界の常識であるが,実は無報酬でやっているボランティアは,この数字から場外されている。そして,このボランティアの比率が実は非常に大きい。
配偶者の収入が当てにできる主婦,定年退職して年金収入がある人にはやりがいのあるパート労働や社会奉仕活動になるが,家族を養うのは厳しいのが現実である。
それでも,日本語教師をやりたい。仕事にしたい。そんな奇特な日本語教師を慰めてくれる有難い,日本語教師の間では(たぶん)有名な言葉がある。
「日本語教師は職業ではない。生き方だ」(※注)
いや,全然有難くないって。現状に甘んじずに,現状改善を考えて欲しいな。
「自らの生活のために,立ち上がれ日本語教師!」
「団結せよ! 日本語教師」
って,日本語教師は団結して,自らの待遇改善を世間に政治に訴えなきゃ。そう思う。
まあ,そんなこんなで日本に戻ったら日本語教師は廃業と覚悟していた。日本に戻って,日本語教師の職を探しても,ほとんど1コマ数1500円から2000円ぐらいの非常勤講師しかないし・・・。
先生の収入より,バイトしている学生のほうの収入のほうが多い(日本語を勉強中で,まだろくに日本語が話せないというのに!)という笑えない現実さえ珍しくない。日本語教師の収入の現実はここを見てちょんまげ(←死語)。
なのに,なのにであるが,中国は常州から戻って来て職探しを始めて,これまでに日本語教師だけで10件も応募してしまった。
好きだねぇ,日本語教師。
実は今,日本語教育業界の求人が急増している。
中国からの留学生は減っているが,ベトナムやミャンマーからの留学生が急増しているのだ。それで,各学校は日本語教師不足の状態になっているようだ。
そんで,気がついたら10件も次々と応募していた。
さて,10件の戦績
◆応募したのに先方から何の連絡もなし:2件
募集に際して,あらかじめ「書類選考に通過した方のみ面接の連絡をいたします」と断っている学校もある。その場合,連絡がないのは仕方がない。しかし,このような断りがないのにもかかわらず,何も連絡がない学校もある。わたしは性格が悪い。このように,企業としての対応がルーズな学校は実名で告発する。
メリック学園(大阪),レクシスジャパン(神戸)の2校。
◆書類選考で落ちた:3件
◆面接まで進んだが落ちた:0件
◆面接まで進んで採用の連絡をもらった:3件(うち1件採用辞退)
◆書類選考は通り面接の連絡をもらったが辞退:2件(すでに内定が3件あるため)
以上
年齢がオーバー50で,日本国内の学校での指導経験無し(※「日本国内の日本語教育振興協会の認定校で指導経験2年以上」を応募条件にしている学校が多い)にしては健闘しているのではないかと自画自賛しておこう。それにしても採用を辞退とか,履歴書送って面接の連絡が来たのを辞退って長い人生で初めてのことだ。
いやぁ,連日,面接で課される模擬授業の教案を考える日々だったので頭脳のほうがへとへと。
わたし,そもそも教案書かずに,指導の重点項目を確認して頭の中で大まかな流れだけ作って教室に入る人なのだ。テーマだけ決めて後はアドリブのジャズみたいだ。プロレスみたいだともいえる。落語家で言えば古今亭志ん生や笑福亭松鶴だ。
そんなええもんか! 教案考えながら,つくづく自分は授業下手だなと思う。まあ,そこは教壇に立った時のステキなルックスと立派な人格がカバーだな。
事前に緻密な計画やスケジュールを立てるのが苦手だから,編集者時代も上司の立てた緻密なスケジュール無視して,締切日につじつまが合わせることを考えて仕事してたもんな。
それでもちゃんと締切にはちゃんと脱稿し,校了させていたからエラいもんだ,あはは。
だから,教案づくりは大の苦手だし,予定調和されたきれいな流れの授業も苦手。その苦手なことをやる日々から,とりあえず解放された。
以上,6月いっぱいで中国の日本語教師を無事契約満了で終了したわたしですが,10月(※いずれの学校も新学期の授業開始は10月から)から,ここ日本で日本語教師として再出発いたします。
ようやく肩の荷が下りたので,ためていたネタで明日も記事書くからね。
※注: 本を読んでないので正確なことは言えないが,「日本語教師は職業ではない。生き方だ」という言葉は著者の意図とは違った意味で流布しているように思う。わたしも,あえて,この記事ではその誤解されていると思われる意味で使ったけれど。
2015.08.14 Friday
中国を歩く(アルク)と,沙県小吃があちこちにある
語学好きなら,本棚に一冊はあるであろうアルクの本。
もちろんわたしもお世話になってます。
中国のどこにでもある,安食堂チェーン「沙県小吃(沙县小吃 シャアシェン シャオチィ)」。
ここに1軒,1分も歩くとまたここにも1軒と言う感じで,ほんとにどこにでもある。
沙県というのは,福建省にある小さな町。小吃は軽い食事のこと。「沙県小吃」のおかげで,沙県は全国区の知名度をもつ。
食堂の開業は,沙県の出身者でないといけないという話もあるが,沙県小吃組合みたいなところの本部に加盟費さえ払えば,看板,調味料その他,最低限の商売道具一式が送られてきて,誰でも開業できるらしい。特に,何かの講習を受けなければということもないみたい。
安いというのは共通しているが,どこも家族経営の小さな店で,値段もメニューも味も店によって微妙に,時に大胆に違う。
中国のことだから,本部に加盟せずに勝手に看板造ってやっているところも多いんじゃないかという気もする。何せ店舗数が多すぎる。
そしてこの店,あんまり中国全土にあちこちあるものだから,中国のインターネット上では,沙県小吃は実は沙県の秘密結社なのだという都市伝説が語られていたりするのがおかしい。
中国人にとっても謎のチェーン店らしい。
公式HP(たぶん)は,ここ(http://www.sxxc.cn/)。
ちょっと,このHPに掲載されている料理の写真は,あまりに出来が良すぎる。実際はホントに安っぽい料理ばかりである。
それはともかく,ここはとにかく安い。ラーメンが4元くらいからあるし,卵チャーハンは6元くらいだし,とにかく10元あれば腹を満たすことができる。よく利用した。味? 店によって味のばらつきが大きいが,味は値段相応。
ただし独特の形をした蒸餃(ジョンジャオ。蒸し餃子である。1皿3元〜4元。ただし量が少ない)はおいしい。これだけは共通のレシピがあるのかもしれない。
沙県小吃の蒸餃は,王将の餃子みたいな位置づけだな。この店に入った人は,とりあえず,蒸餃を注文してから,他のメインとなる料理を注文するといった感じである。
↑ メニューの一例。
とにかく中国を歩く(アルク)と,沙県小吃があちこちにある。
お世話になっているアルクと,お世話になった沙県小吃の商標(エンブレム)を並べてみた。
何か言いたいことある?
【おまけ:就職活動近況】
再就職先は,日本語教師だけに絞っているわけではないけれど,ここでは日本語教師に限っての報告。
中国に未練がないわけではないが,これから先を考えて,ここはきっぱりそれを断ち切って国内での就職しようとしている最中である。
中国? いつでも旅行で行けるじゃん。
先週面接を受けた日本語学校2件のうち1件は採用内定。だれでも知っている大手の専門学校。ただし,時間給の非常勤講師。
国内の日本語教師の求人は,ほとんど時間給の非常勤講師。無償のボランティアだって多い。日本語教師はアホではできないけど,こんな金にならない仕事,賢かったらもっとできやしない。
1件は保留中。「今日の模擬授業はダメだけど可能性を感じるので,注意点を改善して,もう一度模擬授業をやってみますか?」と言われた。というわけで,来週,再模擬授業。
その他に来週1件,さらに再来週1件の面接予定。
まとめると,現在合計4件が書類審査通過。うち1件合格,1件保留,2件がこれから面接である。
日本語を日本の学校で教えるのと,中国の学校で教えるのでは要求されるスキルが違う。そんなわけで,家にこもって,改めて日本語の教え方の勉強と教案づくりの日々。
そのうち,中高年からの日本語教師の道って,ブログにまとめようかな。
厳しいよ。養成校出たばっかりの日本語教師経験のない中高年なんて,日本国内じゃあ,どこもお呼びではない。
今でこそ,こうしてぼつぼつ書類審査通過して面接に呼ばれるようになったけど,中国に行く前,つまり日本語教師未経験のときは,書類審査さえ通らない。壊滅だった。
塾業界の経験が長くて,教師経験があるにも関わらずである。
だから,今の会社辞めて,あるいは早期退職して日本語教師・・・なんて考えている人は止めといたほうがいいよ。今の仕事を定年まで勤め上げなさい。
2015.08.01 Saturday
8月になってしまった。そして急に忙しくなった
日本に戻って,1か月が経過した。8月になったので何か記事を書いておこうということである。
中国で活字に飢えていたせいで,この1か月は,自分で買ったり,図書館で借りたりで20冊は本を読んだ。正確に言うと斜めに目を通しただけのものも多いけど。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
海外,現地採用の日本語教師は帰国すると何の保険もなく“無職”の状態に放り出される。
そう書いて,おお! たった今気がついた。まだ役所に帰国した届け出してないぞ。住民票抹消されたままだ。
海外現地採用の日本語教師は,帰国してから厳しい。
濰坊で一緒だったY先生も「帰国後の仕事が不安で」なんて言っている。
今は青島で日本語教師をしている。居心地のいい学校らしい。
「今後のことは本当に悩んでます」「中国でもう少し貯金してからという結果に落ち着きました」だそうで。
ハローワークやインターネットで仕事探し中なのだけど,来週えらく忙しいことになった。
まず,4日に中国から常州機電学院の教え子が旅行で日本に来る。
初めての日本である。1年生でさらに成績は下位なのでほとんど日本語はダメなのである。
7月27日の記事「老師我8月4日去大阪 〜 from 南京(その1)」は,その子のことだ。続きの(その2)きが書けていない。
「先生,関西空港からホテルまでどうやって行くか分かりますか?(从关西机场怎么到这家酒店你知道吗?)」とQQに連絡が来た。
自力でホテルに行かないといけないらしい。
ホテルまでは団体さんでバスで移動するのだと思っていた。
団体旅行に申し込んだのではなくて,個人旅行か?
宿泊するホテルを教えてもらうと何と尼崎のラブホテル!
阪神尼崎駅の近く。
こりゃちょっと,初めての日本で,しかも日本語はほとんどダメな中国人がホテルまで辿り着くのは一苦労だ。
もっとも関西空港と阪神尼崎間へはバスが出ているから,そのバスを利用すればいいけど,その情報をキャッチできずに鉄路で阪神尼崎まで行くとなると,難波駅で南海電鉄と阪神電車の乗り換えがあるので,ちょっと大変なことになる。
ところで,外国人旅行者がよくラブホテルを利用しているというのは知っていたけど,うーむ,この子はラブホテルであることを知って予約したのだろうか。
まあ,ラブホテルは危険ということはないし,たいていビジネスホテルより部屋が広いからいいんだろうけど。中国人はビジネスホテルの狭い部屋を嫌がる。
しかし,海外からも予約できるラブホテルもあることを初めて知った。
そんなこんなで4日は,関西空港にこの子と同行の友人を迎えに行く。
そして,なんと就職の面接がこの週に3件も入った。
うち2件は日本語教師の仕事。
2件とも面接や筆記試験のほかに,模擬授業をやらないといけないから,その準備も忙しい。
模擬授業・・・全然自信なし。
と言うのは,中国では日本人教師は基本的に文法(その単元の導入部分の文法や単語など)を教えるという役割は課されていないことが多い。
日本人教師は文法を教えなくていいというわけではないのだが,文法は基本的に中国人の先生が教える。そのほうが効率がいい。
ところが,日本の学校の場合は,文法を教えるのも当然のこと日本人の先生になる。
模擬授業の課題はいずれも,中国ではほとんど教える必要のなかった文法なのである。
これだから海外の日本語教師の経験は,日本の学校から見ると「経験」として認められないことが多いんだよね。
昨日から,養成講座以来久しぶりに,文法の授業のための「教案」づくりに勉強中。
役所にも行かないといけない。
それに8月3日は娘の誕生日だ。
急に忙しくなった。
さて,コメントを下さった
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の皆様,応援ありがとうございます。
しかし,何で「美容室」なんでしょ。
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