『中級から学ぶ日本語』『上級で学ぶ日本語』を読む

2013.06.24 Monday

フルシチョフ、ゴルバチョフそして鄧小平、そして大阪

ニーチェは、貧しきものは幸いであるというキリスト教を「奴隷道徳」として激しく非難した。

「窮光栄」　（毛沢東時代）貧しいことはいいことだ

これは、『旅の指さし会話帳４中国』（情報センター出版局）に載っている中国のスローガン。

さて、中華人民共和国（中国）といえば毛沢東。

天安門には巨大な肖像が掲げられているし、中国の紙幣の肖像はすべて毛沢東である。

↑ 落書き。やることが落ちこぼれた中学生並みだな、こりゃ。

でも、深圳では毛沢東より鄧小平なのである。
今や中国は経済優先。
毛沢東の革命理論ではなく、鄧小平理論がその支柱なのだよ。

貧しいことはいいことだというスローガンと、豊かになれるものが先に豊かになれという鄧小平の理論は全く相いれないものだ。
鄧小平はフルシチョフのスターリン批判のように、毛沢東批判派はしなかったけど、完全に革命後の毛沢東を否定している（と、わたしには見える）。
毛沢東って完全に経済音痴で、大躍進なんて全然大躍進しなかったし。

↓　これは深圳の町の中心にある茘枝公園の入り口にある鄧小平画像。

深圳には銅像もある。

こう書いていると、わたし鄧小平のシンパだと誤解されるな。
鄧小平は、一方で民主化には徹底した強硬な姿勢で弾圧をする人であり、開放改革路線、つまり経済は評価できても政治的には評価できる人物ではないだろう。

政治的には共産党支配を強化しないと、最終的にソ連共産党の崩壊を招いたゴルバチョフの二の舞になることを恐れたのだろうと思う。

タクシーの中で中国人・Ｔ先生は言った。
「わたしの友達に共産党の人がいます。わたしは可笑しいです。どうしてあんなに共産党は正しいと信じることができるのか全然わかりません」
日本語だからタクシーの運転所には何を言っているのかわからないとはいえ、こういう発言がこういう場で聞けるとは思ってもいなかった。
「中国人は共産党を支持してません。６割以上の人はそうです。でも、ほかにないから仕方がない」

鄧小平のもと、開放改革に舵をきった中国は、急速に発展。
今やＧＤＰはアメリカに次ぐ世界第二位の経済大国になった。
その裏で、官僚の汚職は庶民の想像を絶するすさまじさで進行しているという。

「温家宝は清廉なイメージで国民の人気を集めていました。でもスイスの銀行に莫大な資産を隠していることが暴露されました。それで国民はみな失望しました。」
と、中国人Ｍ先生。

結構この二人の先生（女性）は共産党批判をする。

濰坊じゃ中国人先生は誰もこんなこと言わなかった。
何を言ったか自分でも忘れたが、共産党批判めいたことを言ったときに、「あっ、そういう話は中国ではまずいです」と言われたことはあったけど。

東京のテレビ局に比べ、大阪のテレビ局はものが言いやすい。
やしきたかじんの番組に出演している評論家や政治家はそう言う。

深圳って、香港と目と鼻の先だし、政治的には北京とも遠く、経済がすべての町だから、大阪と同様に自由にものを言いやすいという土壌はあるのかもしれない。