2015.05.02 Saturday
中国にしてやられる 〜 2.学校的問題
ここ、中国は江蘇省・常州へ来た日は、忘れようにも思い出せない(←お約束のギャグ)昨年の10月ももう終わろうかという日である。
上海・浦東(プートン)空港から有無を言わせず拉致され、車に乗せられ常州に来た。
車の中で、中国人・張先生は涼しい顔で信じられない言葉を口にした。
「あのー、あした1年生と2年生の授業があるんですけどできますか」
できへんわ!
一時が万事。このあとずっとずっと、ず〜っつと、重要な連絡が全て直前になって来ることに悩まされるとは思ってもみなかった。
「1年生から3年生のテストですけど、先生は明日テストをわたしに貰えますか」
今日、たった今テストのこと伝えて、あした用意できますかって、できへんわ!
万事この調子。
5月になった。今日は5月1日だ(※注1)。
中国では労働節の3連休。
わたしの中国在留の期限は6月末日まで。在留許可証はそういうことになっている。
わたしが、常州に来たのは去年の10月の終わり。今年の6月末までの在留許可ということは、その期間たったの8か月。
濰坊でも深圳でもそうだったけど、普通1年の在留許可が下りるんじゃないの。
在留期限まであと2か月。
2週間くらい前にわたしの授業査定ということで、中国人先生が授業のチェックに来た。
なのにまだ学校から来学期の話を何もきかされてない。何の打診もない。
ほかの先生(KAMOMEさんと海南島の日本語教師さん)のブログを読むとすでにお二人とも、すでに学校から来期についての打診を受けている。
わたし、いつ正式に来期のこときかれるのだろう?
ホントに「どうなる今後のわたしの運命!?」だよ。
さて話はかわって、おとといわたしの世話役である中国人・張先生(男性)から電話があった。
「あのー、先生。給料のことでパスポートが必要です。明日、外事办(弁)公室へ行って、柴(さい)先生にパスポートを渡してください。いいですか」
「はい、わかりました」
よく事情がわからないまま、わかりましたという返事をした。
そして昨日、外事弁公室(ワイシィバンゴンシー)に行って、柴女士にパスポートを渡した。
柴女士は日本語はできないが、中国語と英語ができる。中国人だから中国語ができるのは当たり前なんだけど。
「パスポートいつ返してくれるんですか」ときくと、
「not sure」という返事が返ってきた。
「できるだけ早く返してね」と言おうと思ったが、できるだけ早くは「as soon as you can」でいいのかな。でも「as soon as〜」というのは「〜するやいなや」じゃないか。
んんん? わからん、というわけで何も質問できず部屋を出た。
今日から、3連休というのにパスポートがないと列車の切符を買うことも、ホテルに泊まることもできない。
要するにかなり行動が制限される。
3連休は、常州から出ず過ごすこと決定。
さて、パスポートを柴女士に預け、外事弁公室をでたあと、職員食堂に向かう。
食堂のエレベータ内で、中国人・張先生(女性。前出の張先生とは別人28号)と会った。
二人で一緒に食事をする。
「先生は来学期どうするんですか」ときかれた。
「今のところ日本へ帰ろうと思ってます」(だって日本人一人しかいないし、事務的なこともこの学校は連絡が悪すぎるんだから)
「先生はとても真面目な先生です。先生に来学期もいてもらいたいとみんな思っています。前の先生はあまり真面目じゃありませんでした」(※注2)
「うーん、そうですか」(いやー、そんな。わたしなんて、そんな真面目じゃないですよ)
「学生はみんな先生のことが好きです」(※注3)
そういう話をした後、
「実はこの学校は、日本語科を廃止します。来学期日本語科の募集はしません」と、突然張先生は言った。
「えええええええええ。ということは、今の1年生が日本語科最後の学生?」
「そうです」
「わたしたちは、日本語以外の教科も教えることになります。ほかの仕事を探している先生もいます。でも今中国で、ほかの仕事を探すのは大変です」
そして、話を続けた。
「日本語科を希望する学生の数が減っていますから仕方ありません。先生はいい先生ですから、最後まで残って、今いる学生たちを教えて欲しいです」(いい先生だなんて、わたしなんかまだまだですよ)
わたしのこの学校は、日本語科を希望する学生の数が減っているだけではく、3年生になっても学生は平易な日常会話すら満足にできないから、成果の上がってないダメな学部と、学校から判断されたのではないかとも思う。
わたしは、3年生になっても学生は平易な日常会話すら満足にできないことに、大変な危機感をずっと感じていた。残念なことだけど、中国人の先生からはその危機感を感じなかった。
だって、濰坊や深圳の学校では日本語を勉強して3か月もすれば、例えばクラスに欠席者がいるとき、その理由を学生に尋ねたらすぐに日本語で答えが返ってきた。
「病気で病院に行きました」「ちょっと用事があります」「バスが遅れています。もうすぐ来ます」というふうに。
それが、3年生ですら(※わたしの学校は高等教育機関だけど職業技術学院だから4年生はなく3年生で卒業)ほとんどの学生ができないことにびっくりした。
あんまりびっくりしたので、すぐに深圳で同僚だった濰坊学院のH先生に「学生の学力がひどいんだけど、そっちの様子はどう?」とメールした。
すると、濰坊学院もあまりにひどいので、指定された教科書を捨てて、『みんなの日本』で基礎から教え直してしているという返事が来た。
中国の学校からどんどん日本語科が消えている。今に始まったことではない。
わたし、濰坊の実習生送り出す機関の仕事を1年で終わったのは、実習生の数が大きく減ったため会社の経営が傾いたからだ。
この実習生送り出し機関はその後倒産した。
今は濰坊学院のH先生は「もう青島に日本語教師の仕事はありません」と言って、家族を青島に残して単身深圳にやって来たのだった。
そういえば、このブログではおなじみの日本語教師LIFEセンセー(※注4)が濰坊を離れたのも、日本語科の廃止に伴うものだった。
GDPがアメリカを抜いて世界一になることが確実視されている中国である。
その中国で日本語を学ぶ人が増える。中国に日本語を教えに多くの日本人が行く。
それは、大げさに聞こえるかもしれないが、反日国(※注5)と言われている中国で親日家を増やすことであり、民間交流の拡大であり、日中友好促進であり、安全保障であり、それは日本の国益に十分にかなうものである。
だから、日本語学習者の減少は、日本にとっての大きな損失なのであり、中国にとってもそれは同じことだろう。
そして、わたしのような下っ端の日本語教師は飯が食えなくなる。
いいことは何もない。
※注1: この記事の下書きを書いたのがこの日。
※注2: こういう言葉を聞くのは本当に残念だ。学生たちも「この先生の授業はつまらない」と、出席だけしていたのだろうし、学校にもいい印象を残してない。授業は商品である。やはりすべての日本人先生には、日本の品質は高い、一定の品質が保たれ当たりハズレがないという中国人の信頼を落とさぬよう、良質な授業を提供してほしいと思う。それは工業製品に限ったことではない。
※注3:「みんな先生のことが好きです」これ、濰坊でも言われたことがあるような…。深圳ではの言葉を聞いたのは1度や2度ではない。3度である。要するに、中国人の「みんな○○さんのことが好きです」は、相手に対する配慮の言葉、決まり文句ととらえるのが正しいとわたしは思っている。日本語教師LIFEセンセーは、いつだったかの記事で「みんな先生のことが好きです」と言ってもらったと、ストレートにこの言葉を受け取り、単純に喜んでいたけど。
※注4: 実は最近、日本語教師LIFEセンセーとコンタクトが取れ、しばらく「友好」的にしばらくメールのやり取りをしていた。やり取りの内容? 結局さまざまなことに知識や読書量等などの差がありすぎて一方的な展開。高校生相手に小論文の指導しているみたいなことになって、わたしのほうが疲れてきたので打ち切らせてもらった。謙虚でいい人なんだけど、残念ながら、人に指導するだけの知識を仕入れないままの、いい人だけでは、先生はつとまらない。
※注5: もちろん中国は「反日」を国是とする反日国ではない。でたらめである。
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