2014.02.12 Wednesday
入試国語攻略〜国語入試問題は出題者を相手に解け
人間、年を取ると、どうもいろいろ言いたくなってくるみたいだ。
ああ嫌だと思うが、物言わぬは腹ふくるるわざなり。
【国語入試問題は出題者を相手に解く】
昨年のセンター試験「国語」の平均点が5割を切ったそうな。
国語1問めは小林秀雄の文章。朝日新聞の見出しは「(意表をつく言い回しが多いために文意をとりにくい)小林秀雄のせい?」。
齋藤孝先生(サイトウのサイの字注意。齋である)は(『「東大国語」入試問題で鍛える! 齋藤孝の 読むチカラ』(宝島社)の中で、小林秀雄かかってこいと著者を相手に問題を解いていた時は点数が取れなかったが、出題者を相手に問題を解くようになって得点が取れるようになったと言っている。
齋藤先生のこの話を簡単にまとめるとこういうことになる。
入試で小林秀雄が出題されたとする。その時、小林秀雄の文章を間に挟んで大学(出題者)と受験生の対話が行われている。
「あの、この文章について質問なんだけどね・・・」と大学が質問する。
それに対して受験生は「この文章に書かれていることはですね・・・」と答える。
それが入試国語なのだ。この対話がうまくできる学生を、ウチで学問をするににふさわしい学生として大学は合格点を与える。
大学(出題者)を無視して、小林秀雄と対話してはいけないのである。
それがわかると、世間によくある“(国語の入試問題は)出題者がその文章をどのように読んだのかを考えないといけないのはオカシイ”という批判がいかに的外れなものかよく分かる。
入試国語は著者を相手にするのではなく、まず出題者を相手にしなくてはいけない。これが正しい。
受験生は設問から「先生(大学)は、この文章をこのように解釈したんですね」と的確に指摘し対話できる学生でなければならない。
もちろんその際、答えの根拠は文章に書かれていることがすべてである。書かれていることを根拠にして客観的に答えを導き出す。
ところが世間では、あるいは国語の先生でさえもこう考えていない。ほとんどの人が著者を相手にする。入試国語は誤解されている。
元河合塾の牧野剛先生は84年の共通一次試験の問題を的中させただけでなく、京大コース、東大コースでも、試験問題を的中させてきた人気講師だった。
この先生、過去問題から出題者の読書傾向を分析する。そのうえで、予想問題をつくり的中させてきた。
つまり出題者を相手にしているのである。
わたしも塾講師時代はこうやって入試予想問題を作り、何度か的中させた。
小林秀雄の文章に論理の飛躍が多いことは多くの予備校講師が指摘している。
それは要するに小林秀雄の“芸風”である。小林秀雄は何も悪くない。
悪いのは出題者である。
さてセンター試験・国語、小林秀雄の問題をななめにざっと見て驚く。なんだこの注釈の多さは! 21も!
要するに高校生にわかりっこない文章を取り上げたわけである。
悪問である。素人の作問だ。出題者ははっきり言ってアホである。
平均点が50点に満たないテスト(試験)。
わたしが塾にいたとき、こういう問題を作ると上司にひどく怒られた。
まずテストを受けた児童・学生がかわいそう。それに得点分布が下のほうにかたまってしまい、きれいにばらけないので、学力が正確に把握できないのだ。
センター試験という多くの若者の将来を左右する重大な試験。複数のセンセーのチェックを受けているはずなのに、こんなアホな問題がどこかで止められることなくスルー、つまり出題された。
すくなくとも問題文に21個もの注をつけないと高校生に読めないと分かった時点で、この文章は没にしないといけない。
ゴーマンかましてもよかですか!? by小林よしのり
学力低下問題は、近頃の学生がアホだという前に、センセーの能力が低下しているのではないかということをまず疑え。
※注: 『「東大国語」入試問題で鍛える! 齋藤孝の 読むチカラ』は、私が知っている限り、入試国語は著者を相手にするのではなく、出題者を相手に解くということを初めて説いた本である。東大の入試問題を取り上げてはいるが、非常に読みやすい。国語入試問題を著者の呪縛、国語入試問題の世間にある誤解から解く画期的な内容だと思う。でも、残念なことに原稿は編集者、要するにゴーストライターにほとんど任せているので、amazonのレビューで“適当に書き流した本”なんて言われている。決して書き流した本ではない。本人が書いてないんだから。
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