2015.03.03 Tuesday
術語集 〜 気になる社会主義核心的価値観 (最終回)
「気になる社会主義核心的価値観(3)』が工事中のまんまです。
もう少し文章を整えて、リンクもちゃんとはらなければいけないのですが、毎回のこことは言え、思わぬ長文になってしまったので正直面倒くさくなって、放置しちゃってます。
ええい、先に行っちゃえ、行っちゃえというわけで今回は「気になる社会主義核心的価値観」の最終回であります。
今回は公民個人に関わる項目、「愛国」「敬業」「誠信」「友善」です。
個人のことにまで口出しするあたり、中國共産党はなかなかおせっかいやきであります。
中国の人にとって、共産党はいつまでも子離れせず、いつまでも子どもを自分のコントロール下に置きたい親のような存在かもしれません。
だから、例えばインターネットだって、これは見ちゃダメ、あれも見ちゃダメといろいろ制限をかけてきます。
でも、そういう親子関係みたいなものだったとしたらなかなか複雑ですね。
子どもは、一方で「いちいち、るせーなぁ。ほっといてくれ。俺の自由にさせろよ」と反抗しつつ、一方で「今の自分がいるのは両親のおかげです。いつまでも元気で長生きしてください」なんて思っているのですから。
■ 愛 国(あいこく)
爱国(àiguó)[名]愛国。自分の国を大切に思うこと
【解題】赤尾敏という人がいました。肩書は大日本愛国党初代総裁です。わたし、学生時代、銀座に出かけたときは数寄屋橋でこの人の反共演説を聞くのが楽しみの一つでありました。
もちろん赤尾敏の「愛国」的な言葉の数々に共感していたからではなく、暴力と滑稽が同居したこのご老人の枯れた芸を楽しんでいたのであります。
そうとうなご高齢でしたから、今しっかり見ておかねば次は見られないかもという気持ちもありました。
このご老人の言う「愛国」は、世間の人にとって「過激」で「危険」なものでしかありませんから、わたしのように足を止めてその演説(というよりボヤキ節)を聞く人はほとんどいませんでした。
愛国、この言葉自体は本来真っ白な、純白のドレスのような何の罪もない言葉だと思っています。(「真っ白な、純白のドレス」という表現にツッコミは入れなくていい)
でも純白のドレスだからこそ、「ある意志を持った人」にはいかような色にも染めることができる利用しやすい道具になるのでしょう。
政治の波に利用、翻弄される続ける「愛国」という言葉。毀誉褒貶のはげしい波乱万丈な言葉であります。
■ 敬 業(けいぎょう)
敬业(jìngyè) [名]仕事や学業にまじめに励むこと
【解題】以下、 中国国際放送局(昔の北京放送)の「敬業」の説明をそのまま引用(自分の頭で解説考えるのが面倒になってきた・笑)します。
ここ数年、中国では、この言葉をよく耳にするようになっています。「本当に『敬業』していますね」、「どうしてこんなに『敬業』しないの」などがあります。そして、学校、会社、政府機関など各分野では、いずれも「敬業精神」を持つように提唱しています。
■ 誠 信(せいしん)
诚信(chéngxin) [名]まごころがあってまじめであること
【解題】日本で次々に明るみに出た食品産地偽装。このような企業姿勢を中国では「誠信でない」というのですね。
ひどく古い記事ですが、こちら「中国企業の“誠信”の課題」をお読みください。
■ 友 善(ゆうぜん)
友善 yǒushàn[形]《書》仲のよい
【解題】解説しようにも、みんなと仲良くしなさいってお幼稚じゃないんだから。でも、「日本のお友達とも、世界のお友達とも仲良くしなさい」という意味も含まれているいのだと考えればいい言葉じゃないでしょうか。
さて、以上「社会主義核心的価値観」の12の言葉について考えてきましたが、いかがでしたか?
あまりに抽象的な言葉の羅列でなーんの中身もないと非難することは簡単です。
わたしも中身がないと思います。
でも、かつてはこんなや↓〈米帝国主義を南朝鮮(韓国のこと ※注)から追い出せ〉
こんな↓〈帝国主義と反動派は張子の虎だ〉スローガンを掲げていた中国共産党もずいぶん丸くなったなと思います。
中国共産党も時代によって変わる。これでいいのだと思います。
そして、「人の振り見て我が振り直せ」、あるいは Watch Your Step (足元注意)。これがわたしの結論です
〈終わり〉
※注: かつては日本共産党も 韓国(大韓民国)のことを南朝鮮と言っていた。
【追 記】
長い引用になるが、海南島の日本語教師さん(ボウフラなのかと思っていたら身長181センチ(当時)、体重97キロって。そんなボウフラはいない)の “自分の時間を犠牲にし、尼崎の夜の街を駆け回り、登校常ならずの生徒との対話を一心に行っていた秋月教諭を尊敬しながら、日記の後半では「学校に来ない生徒を連れてきて席に着かせるのは『制度』の役割であって教諭の仕事じゃない」などと書くあたり、相当に論旨の混乱があるなと、自分で思いました” というのが、わからない。
どこに「論旨の混乱」があるというのか?
“『制度』の役割”であり、本来“教諭の仕事じゃない” ことにその教師が誠実であれば誠実であるほど時間と労力を注がねばならない教育の現場の現状を、しっかり告発しているのではないかと思う。
わたし、なにか誤読しているのだろうか。
(以下、書き散らかしている文章だから、面白いことは書いてない。読まなくてもいいよ)
海南島の日本語教師さんは、水谷と尾木の “教員がちゃんと対応すれば” という意見に対し、“親が本来絶対に持っていないといけない「我が子への危機感」を、しばしば持たない。その狂った親を「免罪する」” ものだと言う。確かにそうだと思う。
そして、“尾木や水谷が親よりも「先に」学校を初めとする社会システムの機能不全を指摘するのは、そっちのほうが「楽」だから”だという。そうだとも思うし、それだけじゃないとも思う。親も「楽」だから、という言葉が抜けているのではないかと思う。
確かに。水谷センセーや尾木ママが世間の親に受けているのは、水谷センセーや尾木ママの言葉が、親の責任を免罪してくれるからだ。水谷センセーや尾木ママは口に苦い薬は決して親に与えない。
あなたは悪くないと肯定してくれる。人は自分を肯定してくれる人が好きだ。もちろんわたしもそうだ。
だから、“自分の子どもに対して危機感を持つ”ことが期待できない“ある種の「親」”の耳にさえ、水谷センセーや尾木ママの言葉は届き共感を持って迎えられる。
水谷センセーや尾木ママは新聞・テレビといったマスコミが、そしてその向こうにいる読者や視聴者が自分たちに何を求めているのかをよく理解しており、その期待を裏切ることのない「安全」で、だれにでも受け入れられやすい発言をしてくれる。そうである限り、マスコミも水谷センセーや尾木ママを重宝して使い続ける。
水戸黄門と同じマンネリ芸である。送り手(知識人・マスコミ)と受け手の馴れ合い、馴れ合いという言葉が悪ければ、信頼関係が築かれている。
マスコミも親もみんな、水谷センセーや尾木ママにはお互いの信頼関係を壊すことなく「百年一日同じ事をぴよぴよと」さえずって欲しい。
そうしている限りは、水谷センセーや尾木ママだけでなく、親も「楽」なのだ。
尾木センセーなんかは明石家さんまに「尾木ママ」というキャラクターを与えられてからは、すっかりその「芸」が板についている。
さてちょっと話題を変えて、いわるゆる酒鬼薔薇事件(この事件の現場にわたしの実家がある)について思い出したことがあるのでそれについて書く。
大槻ケンヂは、この事件に「酒鬼薔薇は僕の代わりにつかまった」と言った。この言葉の評価はさておき、あの事件を当事者として受け止めようとしたのは決して大槻ケンヂ一人ではなく、自分が教えていた学生の中にもいたと、香山リカが言っていた。
(そういえば、ずいぶん古い事件だけど、仕事を終えると夜な夜な売春をしていた、電力会社のエリート社員が殺害されたという事件があった時も、出世のため男社会の中で女を捨てて働かざるを得ないOLから「あれはわたしだ」という声が多数あったらしい。これは上野千鶴子が言っていたのかな)
そして、今の学生に酒鬼薔薇事件のことを書かせてみたら、「ひどい」「恐ろしい」「許せない」といった意見ばかりで、当事者として事件を受け止める意見が一つもなくなったと言っていた。
今この国は、目の前にあるさまざまな問題を当事者として受け止める能力(他者に対する想像力と言ってもいい)がかなり失なわれているようだ。(だから、中国の大気汚染をはじめとする公害、農薬や危険な食品の問題だって一番それに苦しめられているのは当の中国の、そして圧倒的に多数の善良な人たちだという想像がはたらかない)
そして当事者意識がないから、「私たちは悪くない」と自分を安全圏に置いたうえで、悪い奴=「犯人」探しに精を出す。
そして魔女狩りよろしく見つけ出した「犯人」を集団バッシングすることで連帯を確認し安心する。
中国の人は、自分たちの国が欧米や日本のような先進国に比べ様々な面でまだまだ劣っていることをよく知っている。
「中国はまだまだダメです」と中国人の先生も学生も言う。個人対個人になると、中国の人はとても謙虚だ。
ただ、国対国になると国家のメンツがあるから謙虚さは絶対に表に出さないのだけど。
書店の本棚を、平台に積まれた本を見るといつも気分が悪くなる。なんて下品な国だと思う。愛国ポルノに耽溺し、反中・嫌韓に熱をあげる、これが今の日本の現実なのだろうか。
そしてそれは日本人の精神が、自分たちは世界一の国の世界一の国民であると無邪気に信じ、謙虚さを失い「万能感」を振りかざす「野獣」のような幼児のそれへと回帰しているからだとしたら・・・(すでに一部の中国の人の目にはそのように映っているのかもしれない)
だとしたら、だとしたらの話であるが、内部の崩壊が始まっているのはよそ様の国である中国ではなく・・・おっと、もうこれ以上書かなくても、わたしの言いたいことわかるよね。
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Comments
とても重いご指摘だと思いました。神戸の事件のことについて、全く同感ですし(現今の老いも若きも判断停止)またご実家……にも驚きました。
大槻ケンジさんのことは知りませんが(顔に傷のあるロックミュージシャンかな?)私も、場合によってはこの人が神戸の事件の当事者だったかも知れない、という人を複数知っています。
安全地帯からの発言を続ける教育評論家……それにしても、18年、何も変化せず学んでいない教育シーンというのは何なのでしょうか。もちろん2012年3月31日に退職した私も、自戒を込めて言うのですが。
Comments
重い指摘というのは、身長181センチ・体重97キロのボウフラはいないということでしょうか(笑)。大槻ケンヂはそうです、顔に傷のある(メイクですが)あの人です。
ところで、わたし尼崎(それも阪神沿線)に住んでいたことがあります。
ある日、娘の友達が兄弟を引き連れ遊びに来ました。総勢5人くらいだったでしょうか。
「えっ? みんな兄弟?」
「そうや。お腹すいた〜。ご飯ある? お母さんにな、よそ行って食べさせてもらいって言われてん」
そんな、人のうちに急にやって来て「ご飯」と言われても・・・。しかも1人や2人ではない。仕方ないのでラーメン作ってみんなに食べさせました。
全然気取りがなくて、人と人の距離が妙にべたーと近い町ですよね。びっくり。
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