2015.10.18 Sunday
KAMOMEさんとエールの交換 〜 在日本の新人講師
コンクールに入賞した作文の再掲ありがとうございます。
いやー、改めて読んでも高い知性を感じさせる文章ですね。
しかし、「小学校から受けた“歴史の恥を銘記せよ”という観念、テレビで絶え間なく放送される抗日戦争のドラマ、上の世代の深い怨念。それらは世論を作り出した。そして、今の若者を戸惑わせる。集団から脱落するのを怖がって、自分の考えを貫くより、皆に合わせて声を出すことを先に選ぶ。或は、真の日本を見ずに、誰かに作り出された日本を仮想の敵とする人は少なくないだろう」
という部分ですが、これはもう文化大革命の時代なら命を狙われる。
この部分は今の中国ではどう受け止められるんでしょうかね。
コンクールが日本側でやっているものだから、上位に入賞できたのでは・・・とも思ってしまいます。
さて、仕事のほうですが、
「朝6時半に起床、7時過ぎに家を出て、難波にある学校に着いたのは9時前だった。しかも地下鉄も阪神も立ちっぱなし。う〜ん、疲れるわ、こりゃ」
とのことですが、わたしも6時に起床して、まだ慣れないものだから始業の30分前に学校に着くようにしています。
わたしも、通勤の行きと帰りだけでくたくたになります。
「きちんとしたテキストがあり、小テストも全部準備してくれる」
とのことですが、それはしっかりしていますね。
小テストの準備はどこまでですか?
学生の人数分のコピーは先生でしないといけないのでしょ?
わたし2つの学校で教えているのですが、一方の学校はしっかりしています。
きちんとしたテキストがあり、小テストも人数分のコピーは各先生がしないといけないものの、全部準備してくれてます。
非常勤の先生の定着率がいいということだと思いますが、非常勤の先生方のみなさんもレベルが高くて勉強になります。
宿題の採点など授業後の処理のための手当ても、きわめて少額ですが出ます。
新人講師の歓迎会も来月あります。
研修の内容は多文化共生とか、自立した生活者みたいな話ばかり(日本語講師30年と言うK先生はとても素晴らしい先生で、ユーモアもあり話は非常におもしろかった)で、実際の授業の具体的な話はほとんどなかったので、授業が始まると大わらわでしたが、授業を始めてみると、それぞれの国の文化を大切にするという学校の根本的な思想を感じ、自由な雰囲気も非常に好ましい。
当たりです。長く勤めたいと思う学校です。
もう一つの学校は、メインテキストが『みんなの日本語』なのですが、今はカリキュラムの都合で、きちんとしたテキストがなくて、全部市販のテキストのコピー対応(大いに著作権に触れてるぞ)で、そのコピーを先生が準備しないといけないので、それだけでてんてこ舞い(←「てんてこ舞い」なんて言葉久しぶりに使った)です。
さらに副教材のオリジナルプリントの作成まで要求されるうえに、テストも作成しないといけません。手当なしで。
そして、前期の学校と違い日本の文化に同化させようという思想がとても強い。
学生を自立した個人として見ないから、「答えを書くときは、ペンは禁止でシャープペンシルか鉛筆。答え合わせは、必ず赤ペンを使わせてください。」
学生は全員18歳以上の大人なんだから、そんなことどうでもいいじゃないと思う。
それぞれのやり方もある。中国人なんてほとんどみなボールペンで書くから、修正だらけの答案用紙は非常に汚くなって、先生としては採点しにくかったなぁ、なんて思い出したりして。
しかも青のボールペンを使う子も多くて、青に赤を入れるとこれまた見にくいものになる。日本人としては困る。
でもそれが中国の文化、やりかたでしょとも思う。
日本社会に同化させるというのも一つの考え方であり、一概に否定すべきものではありません(ごみの分別とかはすぐに覚えてもらわないと住民とトラブルになる)。
しかし、わたしは「かつての日本は植民地に対する日本語教育を通じ、その国の文化・宗教を否定してきた」という同化の負の面にこだわりがあるので、思想の根本的なところで違和感があります。
たぶんそんな方針(「方針」という大したものではなくて、多文化共生とか考えたことがないから、日本のやり方を強いているだけかもしれない)が大いに影響しているのだと思いますが、全体に雰囲気も活気が少ないです。
新人講師の歓迎会もありません。
学校にも当たりはずれがある。ここは契約期間が終了したら契約継続せずに、KAMOMEさんの教えている学校に応募してみようかな。
しかし、話を変えて、2校もいっぺんに講師を始めたものですから授業準備が忙しすぎて、先週、おおかたの荷物を新居に運び、電気の使用を申し込んで開通させ、そして、きのうガスを開通させたものの、電話とインターネットが工事待ちの状態ということもあり、未だ大阪の新居に移れていません。
大阪の新居に移れば、通勤はいずれの学校も1時間以上短縮されて、30分ぐらいになるので、この点はずいぶん楽になるのですが・・・。
では、おたがいに頑張りましょう。
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Comments
エール、ありがとうございます。
お返事遅くなってすみません。
学生の作文は残念ながら3等賞にとどまりました。内容で見れば優勝(日本大使賞)もありうるかなと思っていたんですが、やはりコンクール受賞作品の傾向からすると少し軽いタッチの方がうけがいいようです。3等と言っても20名位いますし、彼女の作文が日本人受けするから受賞できたということではないと思います。地方によって違うと思いますが、一般学生の日本に対する反感は普遍的だと感じています。その理由は学生の作文にある通りで、英語外教から「なぜ学生たちはそんなに日本が嫌いなんだ? 70年も前のことなのに。」と怪訝な顔で聞かれたことが度々でした。その反面、日本への好感も確かにあり、中国人の対日感情はアンビバレンツなものなのでしょう。
難波の学校の雰囲気は週2日半日しか行かないのでよく分かりません。進学レベルの新米は自分だけだし、みんな忙しそうで歓迎会なんて雰囲気はありませんね。しかし専任の先生はとても親切なので助かっています。コピーはそりゃ自分でしなきゃなりませんが。ただ初めての科目ばかりなので半日の授業に前日ほとんど一日費やして教材研究しています。時給500円位ですな〜。授業が楽しいのでいいですけど。
ともかく右も左もわからない状態なので必死にやるのみです。
お互い頑張りましょう。
Comments
そうですね、おっしゃる通り、普通の中国人の対日感情はアンビバレンツなものですね。
でも、イボウや常州といった中・小規模の都市の場合、ドラマで残酷な日本鬼子しか知らない人でも、本物の動く日本人が目の前に現れると、めずらしいものだから人なつっこい表情を浮かべ、とても親切にしてくれる(そこらへんに日本人がいて、日本人に慣れている上海やシンセンを除く)。
それが、わたしの中国人の印象です。
さて、日本語学校ですが、「初めての科目ばかりなので半日の授業に前日ほとんど一日費やして教材研究しています。時給500円位ですな」というのは、私もまったく同じ。
忙しすぎる。
いままで、学習塾講師時代から教案なんて作って授業したことなかった、常州の大学でも「必要なものだから作って提出してください」と言われたから適当にでっち上げて、授業はそれを完全に無視して授業をしてたのに、今はちゃんと教案作ったりして・・・。
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