『中級から学ぶ日本語』『上級で学ぶ日本語』を読む

ここ２、３日ＣＣＴＶ（中国中央電視台 ※注１）の日本関係のニュースは、
志位和夫と安倍晋三の党首討論です。
　　

志位委員長の、ポツダム宣言の誤った戦争という認識が首相はあるのか？　という質問。
かなり強烈な一撃だったようです。
安倍首相はおろおろしながら、「つまびらか」に読んでないからと、的を外して答える。

それに対し志位委員等は、誤った戦争という認識はあるのか？　ないのか？　という二者択一のやさしい質問にして、再度安倍首相に問う。

安倍首相は、「つまびらか」に読んでないところを攻撃するのは反則だと思ったのか、怒りの表情で、再度、的を外した答弁をするというあれです。

判定： 志位委員長が技ありが２本で、「合わせて一本」の総合勝ち

日本はいつまで中国や韓国に謝り続けないといけないのかと、いら立ちをあらわにする人は多い。
でも、これで「つまびらか」に分かったでしょ？　中国、韓国の人がいつまでも怒り続ける理由が。

安倍首相は、「過去の戦争は間違いでした。ごめんなさい」ではなく、
「過去の戦争は間違っていない。でも、（とりあえずこの場を収めるために）ごめんなさい」なのだからと。

そして、わたしは、日本語教師でありながら、ほとんど忘れていた「つまびらか」（※注２）という日本語を思い出して、その意味を改めて確認できてよかった。

ちょっと「つまびらか」の同義語を使った表現を並べて、比べてみよう。
「つまびらかに読んでいない」
「ちゃんと読んでいない」
「しっかり読んでいない」
「詳しく読んでいない」
「よく読んでいない」
なるほど、「つまびらか」を使うと頭が良さそうに聞こえるって、そうかぁ？
でも、相手を一瞬だけ「ん？　つまびらか？」とたじろがせる効果はある。

そして、わたしもポツダム宣言の全文を「つまびらか」に読まねばと思って、挑戦しているのですが、あまりに難しい日本語（※注３）なので挫折しております。

今のところ。

こんな難しい日本語を「つまびらか」に読める志位委員長。さすが東大卒です。

※注１： 中国中央電視台の略称がＣＣＴＶ（China Central Television）で、監視カメラ（Closed-circuit Television）の略称もＣＣＴＶというのは、偶然の一致とはいえ出来すぎた話。
※注２： つまびらか【詳らか／審らか】［形動］［文］［ナリ］《「つばひらか 」の音変化。古くは「つまひらか」》くわしいさま。物事の細かいところまではっきりしている さま。「―な事情」「内容を―にする」（goo辞書より引用）
※注３：「この文章を理解できる日本人が何人いるか？　少なくとも私は分からない。英語の原文を読んで何を言っているかはじめて知ることができる」と、広島在住のWebジャーナリスト、哲野イサクさんという方が、やさしい日本語に再翻訳してくれている。なんて、いい人なんだ。それでも、わたしの頭には十分難しい。