2015.11.15 Sunday
テスト作成中 〜 授業は商品である
休みというのに、K学園の後期中間試験を作成中。先週の日曜日は作文の添削をしていた。
テストは、2クラスを受け持っているから2クラス分。「会話」と「読解」のテストを作成しなければならない。
K学園は金払いが悪い。テスト作成手当なし。
2chの掲示板で評判を見たら、やっぱり”ケチ”という言葉があちこちに。
来年の3月までの契約を待って、この学校は終了にしたい。
それにしても、この学校は「学校としての教育の質」「学校として提供するサービスの質」という考え、要するに「教育の品質管理」の思想が全くない(としか思えない)。
授業で何をするのかは常勤の各クラス担当にお任せ。
だから、ある担任は事細かに授業のやり方を決めて、非常勤の講師にそれを要求する。
ある担任は、この教科書を使ってください。あとはお任せしますということになっている。
一つの学校なのに、担任によって授業のやり方が全然違う。
こんな状態だから日本語学科の主任の先生が、各クラスで何をしているのか把握していない。
だから、
非常勤 : あのう、すみません。〇〇はどういうやり方ですればいいのでしょうか?
主 任 : わたしはわからないので、担任の先生にきいてください。
となる。こんな主任の先生は初めてだ。
どんな会社(学校)にも、会社(学校)の看板として、ウチはこういうクオリティーの商品(サービス)を提供しますという思想があるべきだろう、というかその思想がない会社(学校)は珍しいだろうし、おかしい。
その思想がないから、平気で新任の非常勤講師にもテストを作成させる。
大きなテストは、そこでの経験ある講師が作らなければならない。
そして、「各学期の中間であるいは期末で、このテストのクラス平均が〇〇点になるような授業をしてください」と、学校が各講師に求める授業の水準を示さなければいけない。
そして、その中で各教師が目標に向かって切磋琢磨する環境があってこそ、講師の側も日本語教師として成長できる。
浜学園は「授業は商品だ」といった。今から40年以上も前に。
当時は、「教育を商品とは何事か」と非難ごうごうだった。
塾は利潤追求をする私企業だ。そして商品は授業だ。だから商品としての授業のクオリティーを上げる努力をする。
そして各先生は集客力のある、顧客満足度の高い商品(授業)を提供すべくスキルを磨く。
当然のことじゃないか。いいことじゃないか。何がいけなかったのかと思う。
もっとも当時は、塾は「神聖な」教育を金もうけの手段にする悪の商売という声がたくさんあった。
さて、K学園。
学生の学習意欲が相対的に低いから、クラス担任は次々と教室内の規則を次々と作る。
授業中は学生全員の携帯・スマホを取り上げる。
カンニングはその場で即0点、などなど・・・。
経験的にいって、規則を細かくしていけばいくほどその網から漏れる学生が増える。
つまり、規則違反がますます目につくようになる。
だから、この規則が守れない学生には以下の罰則を与えますといったようにますます規則が増えるという、息苦しい規則のスパイラルに陥る。
そして、学生の目から輝きが消える。
学校として、目の前にいる学生たちにどんな教育というサービスを提供したいのだろうか?
彼らが発展途上の国の学生だからといって、どこか彼ら彼女らを見下していないだろうか?
教育理念がなく、目の前にいる大切な学生を、授業料を運んでくれるお客さんとしか見ない学校の経営に手を貸すようなことはしたくないと思う。
ついでに、この学校は授業の際、副教材として市販のテキスト類を大量にコピーして学生に渡している。
われわれ講師は、授業の前にせっせと大量の無断コピーをしている。
最終的にはテキスト一冊(一冊に終わらないんだけど)丸ごとコピーをクラスの全学生に渡すことになる。
まぎれもない著作権の侵害であって法的にも問題がある。非常に心苦しい。わたし、もと編集者だから、教材を出版していた側として無断コピーの問題には敏感になる。
それに、こんだけ副教材のコピーが多いというのは、教育が要するに「詰め込み教育」になっているのだ。
たくさん教えたら、たくさんできるようになる。経験の浅い先生は結構こう考えて、やたら宿題を出したり、プリントをいっぱい作ったりするする。これ塾での経験。
わたしは、10のことを教えるのに10の知識を与えるより、1つのことを教えて、それを10の知識として活用できるような授業をしたいと思う。宿題だって、授業でやったことの確認・定着以上の内容は不要だろうと思う。
経験の浅い先生は、易から難へと配列されているページの問題番号順に問題をやって、「残りは宿題です」なんてことをやる。
結果難しい問題が宿題として残される。
難しい問題をじっくり考えながら解くことに快楽を感じる優秀な生徒・学生ばかりのクラスならそれでもいいだろう。でも、そんな生徒・学生は絶滅危惧種としてレッドリスト入りさせてもいいくらいのごくごく少数派である。
学校にもいろいろある。私が行っているもう一つのY学院はいい学校だ。学ぶところも多い。
エラそうにK学園はダメだねぇなんて、こんな教育(学校)論をたれているわたしだって、素直に「勉強になります。ありがとうございます」と謙虚になれる。
それにY学院は、テスト作成の際はちゃんと手当がある。もっとも新任の講師にはテスト作成なんて大役はまわってこないが。
K学園もテスト作成手当が欲しい。こんなだから、K学園は非常勤講師の定着が悪いんだよな。
愚痴ってないで、早くテストつくろっと。
【追 記】
YOUTUBEリンク: Stranglers - Shah Shah a go go
わたしは、もちろんテロには反対する。が、同時になにがテロリストを生み出したのかという冷静な考察(犯人グループはフランスのイスラム国に対する空爆を犯行の動機としている)が欠落したままの、「あらゆる手段」を使った感情的な「報復」「無慈悲な戦い」を決行することにも反対する。
報復。9.11以来よく聞くようになった言葉だ。イスラム急進派に対するテロへの報復が新たなテロを生み出していることは9.11以降の事態から明らかではないか。
今教えている学生の中にもシリア人がいる。もちろんイスラム国とは無関係だ。が、今彼はどんな気持ちでいるのかと思う。
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