2013.03.26 Tuesday
中国の海賊盤CD 〜 U2ベストのはずがワーストだった
中国は、CD、DVDは海賊盤だらけというのは有名だけど、実際に中国の海賊盤って見たことないでしょ?
CDショップや、スーパーで売られている海賊盤CDのパッケージと中身は、ほとんどこうなっているという話である。
以下、写真は濰坊で初めて買ったCD。U2のベスト盤である。3枚組で25元(1元=約13円)だった。
見た目が豪華な上に安いので買ってみたのである。
↑ 表紙。写真では文字がつぶれているが、左下に日本語で「24K ゼロ衰減の高透過率材料」とある。高音質をうたうのは中国の海賊盤のお約束である。
これが、とてもぶ厚い。上から見ると・・・
豪華な感じだ。開いてみると・・・
国内盤や輸入盤でときどき見かける薄いデジパック仕様に比べて、中国の海賊盤のこの重厚感はどうだという感じである。
さすがメンツの国。
で、中身は・・・
なんじゃい。なんじゃいこりゃ(松田優作)。
適当な紙袋に入ったCD3枚と、これまた適当な、全曲掲載でなく一部の曲だけの歌詞カードのみ。
極厚の見開きパッケージは、閉じたときの留め具がないのでつねにパカパカ状態。
しかも、この歌詞カードの裏面はU2とは全く無関係の中国の仏教音楽のCDの解説書が印刷されていた。
U2の音楽と中国の仏教の間に、われわれ日本人には理解できない深い関係を中国人は感じているのだろうかと、つい深読み・・・するわけなくて、あまりの手抜きぶりに、普段は仏のような心の持ち主の私に「なんじゃいこれは」と、思いがけず松田優作が降霊した。
選曲も筋の通ったコンセプトがなくてずいぶん適当で、U2(ゆーつー)だけに憂鬱(ゆーうつ)になって、このCDは1枚目を1回聴いただけで、日本に帰るとき部屋に残してきた。
U2ならほとんど持ってるし、こんなのいらない。
そういえば、ビートルズのベスト盤の表紙の写真がラトルズというのもあった。
海賊盤・ビートルズ。その表紙の写真がパロディー・バンド。深読みすればするほど深いのであるが、そんな深い意味はなくて、ただのミスであることは明らかである。
中国の人の中には、ビートルズとラトルズが区別できないくらい西洋人の顔がみな同じに見える人がいまだに存在するということか。
中国の海賊盤はメンツにかけてパッケージは重厚・豪華。3枚組というお得感。さらに「ドイツの技術を使った」だの「高品質な材料を使った」だのと高音質をうたい高級感を演出するが、中身は手抜き。
海賊盤CDは表面的なメンツ(見た目の豪華さ)にこだわる中国の縮図であるとも言えるのかも・・・そう考えると深いんだか、なんだか。
なお、ここで紹介した海賊盤は、CDショップやスーパーで売られているマトモな海賊盤である。
パッケージだけを見ると、豪華永久保存盤仕様。最新技術による高音質(眉唾ものだけど)なのである。
露店ではジャケットなしの薄いプラケースに入っただけの粗末な海賊盤を売っている。買ったことないから(中国の個人商店は値段を表示してないことが多い)値段は不明。
CDとは直接関係ないけど、濰坊の街を歩いていて一番よく流れていた日本の楽曲は、初音ミクのロイツマ「Ievan Polkka」である。
解説: CDショップやスーパーで売られている海賊盤CDはほとんどが、3枚組でこんな作りである。
海賊盤率はスーパーが100%、CDショップが95%超えぐらい。もちろん、テスコ(イギリス)、ウォルマート(アメリカ)、ジャスコ(現イオン)といった外資系スーパーも100%海賊盤である。これはDVDも同様。
アーメイ(張恵美)のファンサイトでは、アーティストを苦しめる海賊盤を買わないでくださいという呼びかけをしているけど、道徳的には正しいけど現実的じゃない。中国じゃあ海賊盤しか売ってないことがほとんどなんだから。有名なフェイ・ウォン(ウィキペディアの写真が山田花子かと思った)ですら、正規盤は1枚も見かけなかった。
なお、アーメイの正規盤は濰坊で一番大きなCDショップで数枚の在庫のほか、KIGOという書店のCDコーナーで2、3枚の在庫を確認している。
だいたい、中国は正規盤がすぐ廃盤になる。ひょっとしたら、ほとんどが初回プレス分で終了ではないのかとも思う。そしてその穴を海賊盤が埋める。
中国は、楽曲や演奏・歌はレコード会社の買い取りで、CDの売り上げに応じた収入がアーティストに入ってくるといった著作権ビジネスが成立していないのだろう。つまり、労働に対しては金を払うけど、労働してなければ当然金を払うことはないと考えている?
上記のU2のベスト盤にしても、「選曲してジャケットデザイン考えて、製造・出版しているのは我々中国の会社であり、この件に際してU2は何も労働してないじゃないか。何でU2に金払わないといけないのだ」ということかも知れない。
自由経済が根付いているとはいえ、社会主義・中国の人にとって、CDが売れている間は、何もしてなくても自動的に金が入るというシステムがまだよく理解できていないのではないかとも思う。
こういう考え方を当のアーティストを含めて多くの中国人民が共有している? じゃないと、アーティストがこんな状況に対し黙っているはずがない。
そもそも、海賊盤などと言っているが、それは欧米人や日本人の常識からそう思っているわけで、中国の人は、これらが、売れてもアーティストには一銭の金も入らない海賊盤であると考えていないのではないか。中国の常識では、ひょっとしたらこれも正規盤なのではないのか。
お馴染みの、All rights of manufacturerから始まる英文の著作権に関する注意書きも書かれているし、山東文化音像出版社とか、中国科学文化音像出版社とか、どれも会社名を見るとマトモそうな感じの会社から出されている。
欧米のロックの世界でも悪徳マネージャー(ジョルジオ・ゴメルスキーという人の悪行ぶりは有名)に騙されて、あるいは契約がこじれてレコード、CDが売れてもアーティスト側には一銭の金も入ってこないということは珍しいことではない。
値段はたいてい28元。バーゲンセールになると10元。正規盤の値段は、日本のような再販価格制度がないのでいろいろなのだけど、ニューアルバムは1枚60元以上。
3枚組の中身(楽曲)は、適当な写真を使ったパッケージのものは過去の楽曲の寄せ集め。
パッケージが正規盤の写真を流用したものは、1枚がその正規盤と同じ内容で、他の2枚は過去の楽曲のコンピというパターンが多い。
コストパフォーマンスの高さから言って、正規盤買おうとは思わないよな、こりゃ。
わたしは、U2で海賊盤CD事情が分かって懲りたので海賊盤CDは買わないようにした。
と言いつつ、崔健(ツイジェン)(2枚組、15元)やサー・ディンディン(薩頂頂)(3枚組、10元)なんかを買ったけど。パッケージはU2同様に分厚くて立派だよ。
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