『中級から学ぶ日本語』『上級で学ぶ日本語』を読む

「中国人は‘面子’を大切にするので、みんなの前でミスを注意しないこと」と会社の日本人教師用マニュアルに書かれていた。

「みんなの前でミスを注意しない」というのは、相手が何人であっても同じであろう。
叱るときは、みんなの前で叱らない。ほめるときは、みんなの前でほめる。
相手が何人であっても、子どもであっても、部下であっても、これが原則だ。

中国人相手に授業をするのと、日本人相手に授業をするのと何か違うかといえば、何も違わないように思う。
こっちが説明しているときは話を聞いているし、疑問があるときは質問をしてくる。
授業が単調になっているときは、やはりつまらなさそうな表情になっているし、授業が乗っているときは楽しそうな表情をしている。
小学校1年生を相手の授業と６年生相手の授業のほうがよっぽど違う。

しかし、授業中、日本人にはない反応だと思うことはある。

■人のミスを訂正したがる
指名した実習生が「わたしは７時を食べました」と答えようものなら、
　　　　「に！」
「７時に！」　「７時に！」
　　　　「に！」
あちこちから声が上がる。
「ほかの人は話すな」
と言ってもだめ。どのクラスも、いつもこんな様子。
成績が良くない実習生でもみんなと一緒になって得意げに、「に！」「７時に！」と言っている。
当然、次はその成績の良くない実習生を指名して同様の質問をする。
案の定、答えられない
ミスを正してあげようという親切心ならいいが、残念ながら他人のミスを訂正しているときの表情は厳しい。
自分がもできないのに、なぜ人のミスをやいやい言えるのか？
中国の不思議の一つである。

■カルタ取りが熱い
ひらがな・カタカナの学習にかるたとりをする。
カルタは「あ」「い」「う」「え」「お」・・・が書かれたシンプルなもの。
私が「あ」だの「い」とか言って、そのカルタを取らせる。
これが、異常に熱いバトルとなる。
実習生たちはみな１８歳以上である。もう大人だ。
しかし、熱くなる。
一枚のカルタを奪い合う、引っ張り合う。
危ない。
確実に寿命を縮める・・・カルタの。


ウチの学校に来ている実習生たちのほとんどが、山東省の地方から出てきた子達である。
北京にも上海にも行ったことがないと言う子がほとんど。実習が終わって日本から帰ったら、お金を持って上海へ遊びに行きたいという子もいた。
ミスをやいやい言うのも、カルタ取りに熱中するのも、きっとみんな根が素朴で素直なんだろう。

決してそんなものが買えないというほど貧しいわけではないのだけど、ペットボトルを切断して筆立てにしたり、紙を箱の形に折って消しゴムのカス入れにしている。
なぜ洗濯機を置かないのかと思うが、寮には洗濯機がないので寒い冬（零下１０度以下になる）でも洗濯は手洗いしている。
どれも、とても日本人には真似できない。
いい子たちだと思う。

≪おまけ： ゆるゆる中国≫
中国のドラえもんは竹コプターがなくても空を飛ぶ。
ドラえもんの凧を携え、顔は凛々しいが、頭の中はのほほんとゆる〜いお父さん。

ドラえもん　版権所有・藤子プロ