2017.08.15 Tuesday
『不思議の国のアリス』と『不思議な国のアリス』
『日本語教師☆ナビ』というメールマガジンを取っている。
ほとんど読んでないけど。
以下は、その8月9日号をそのまま引用。
●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●●
日本語教師☆ナビ −日本語を教える編−
http://www.alc.co.jp/jpn/
●●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●●
今年は、一畝すべてトマトを植えたため、朝、昼、おやつ、晩と、ト
マトを大量消費しているミカです。
今回のまえがき、あとがきのテーマは「アルクの日本語サイト紹介」。
あらためて、私も見てみました。例えば「日本語Q&A」の「ことばの
仕組み(文法)」というページ。
「『不思議の国のアリス』と『不思議な国のアリス』は、どう違う?」
「『太郎は丸くゆっくりと円を描いた』と言えないのはなぜ?」
……うーん、どの質問も、根拠を持って答えるのは、なかなか難しい。
以上引用終わり。
ええっ?
「『太郎は丸くゆっくりと円を描いた』と言えないのはなぜ?」
これ、難しいか? ねえ、トマトを大量消費しているミカちゃん。
「白い白馬」「前に前進する」と同じ誤りだと答えるだけですむ問題だと思う。
アルクの回答の
「「ゆっくり」のように動詞句全体を修飾し動きの様子を表す修飾語と、「丸く」のように目的語がどんな性質かを表す修飾語は、現れる順序が決まっています。動きの様子を表すものの方が先で、目的語の性質を表すものが後です」
という解説。
この解説を、いやあ勉強になります、と感心して読むのは日本語教師。
学生は消化不良を起こすだけである。
学生全員が抜群の文法理解力を持つクラスを除いて、重言(重複表現)だという以上詳しく説明する必要はない。
ん? 抜群の文法理解力を持つ学生ぞろいのクラスならそもそも、こんな質問は出ないよな。
「『不思議の国のアリス』と『不思議な国のアリス』は、どう違う?」
これはちょっと面倒だけど、学生には「同じだ」と答えたらいい。
悪い質問じゃないんだけど、わたし、こういう重箱の隅をつつくような質問を好む学生は好きじゃない。
この手の学生は、聴く・話すといった勉強を軽視し、静かに黙って文法を勉強するのが好きである。その結果、文法テストの点は取るが、実用面でのコミュニケーション力は極めて弱いことが多いからだ。
そんな勉強、自国でもできるじゃん。何のために高い金払って、日本まで来て日本語勉強しているんだか。
さて、『不思議の国のアリス』と『不思議な国のアリス』はどう違う? という問題に戻る。
これ、アルクのページの回答は以下の通り。
http://www.alc.co.jp/jpn/article/faq/03/227.html
ひどい悪文。私の読解力では一読しただけでは意味がとれない。
それに、日本語教師向けの解説だからこうなるのは仕方ないけど、文法用語が多すぎて学生にはこのまま説明しても、学生にはまったく理解できない。
経験の浅い先生は、この内容を全部学生に伝えようとする。
過不足なくぜーんぶ伝えるのはやめたほうがいいよ。ほとんどの学生が、途中でついていけなくなるから。
ちなみに、私なら以下のように説明にする。
『不思議の国』は、名詞+助詞(の)+名詞。
『不思議な国』は、な形容詞(形容動詞)+名詞。
これは分かるね?
「不思議」という単語は、名詞のほか、な形容詞(形容動詞)にもなる単語なんだ。
名詞のほか、な形容詞(形容動詞)にもなる単語は、健康(健康・健康な)、平和(平和・平和な)、暇(暇・暇な)などがあるが、あまり多くない。
『不思議の国のアリス』と『不思議な国のアリス』を英語(※注)にしてみよう。
実はどちらも 『Alice in Wonderland』。
(“Alice in the land of wonder”とも訳せるなんて言い出すと面倒になるので無視)
わたしが、初めに『不思議の国のアリス』と『不思議な国のアリス』は、「同じ」と言ったけど、英語にしたらどっちも同じでしょ?
分かった?
以上、終わりである。
もちろん、これだけの説明では問題がある。
「不思議な」と「不思議の」では語感が違うことを説明していない。
アルクの回答にあるように「不思議の国」のほうは、“不思議”と“国”の結びつきを強く感じ、「不思議の国」であたかも一つの名詞のように感じられる。
一番大きな問題は、これもアルクの回答にあるように「名詞+助詞(の)+名詞」と「な形容詞(形容動詞)+名詞」はどう使い分けるかを説明してないという点である。
しかし、クラスのたった1人の学生の質問にあんまり長々詳しく解説すると他の学生はもう聞いちゃいない。そして、下手すると「あの先生の説明は長いばっかりで、分かりにくい」なんていう評価をもらったりするのである。
質問をしてきた学生に詳しく補足説明してあげたかったら、休み時間にすればいい。
とにかく、導入も含め文法の説明はシンプルにするのが学生にも分かりやすい。
異論・反論、私ならこう答えるというアイディアをお持ちの先生。そのアイディアを教えていただけると嬉しいです。
※注: 英語が苦手とされている中国やベトナムの学生だって、簡単な英語なら90%以上の学生は理解できる。義務教育で小学校から英語を勉強しているんだから。もちろん、落ちこぼれちゃって、英語が全然分からないという学生もいるけど。
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